業務用ネオジオ:MVS

ネオジオ

従来は、ゲームセンターの業務用ゲーム機(アーケードマシン)においては、ゲーム内容の差し替えは内部基板の交換に依っていたが、基板が嵩張ることから製造や流通のコストを押し上げる要因とも成っており、また小さなゲームセンターにとっては、ゲーム内容の入れ替えが大きな負担となっていた。

この問題に対して業務用ゲーム機メーカーのSNK側が出した回答の一つが、家庭用ゲーム機のように、汎用のハードウェアを作成し、ソフトウェアをROMカートリッジ化した上で、ゲーム機内のスロットに投入する事で、簡単にゲームの差し替えを行えるようにするという物だった。

システム基板とソフトウェアの供給媒体との分離自体はこの頃にはカプコンのCPシステムなどで既出の手法だったが、供給媒体をカートリッジとして交換を容易にしたほか、1台の基板で複数のソフトウェアを導入し切り替えることが可能な作りにするという独自の要素を導入した。

また、初期タイトルのソフトウエアは3万円程度と、業務用としては非常に安価に設定された。

この価格は、初期の家庭用のソフトウエアと同額である。

これにより開発された業務用ネオジオである、通称「Multi Video System」(略称:MVS)は、ソフトウェア交換が楽なうえに一台のゲーム機で複数ゲームを提供できる事から、スーパーマーケットなどに併設されているような小規模なゲームコーナーや、玩具店・書店の店頭にゲーム機を設営する際に、その省スペース性が受けて普及した。

なお、後期型の1カートリッジタイプを除けば、ソフトウエアごとのインカムを別々に集計する機能が備わっているため、不人気タイトルを容易に特定でき、適切なタイトル変更が行える仕様だった。

また、前述した「ソフトの交換が楽で非常に安価」というのが実現できたのも、ソフトウェアの媒体がカートリッジ(カセット)だったためである。

1990年に発売され、日進月歩の歩みでハードの移り変わりが激しいこの業界において、2004年までに家庭用ネオジオと共に14年間もソフトを供給し続けた点は十二分に称えられる功績である。

家庭用ネオジオ:AES

ネオジオ

業務用のMVSがリリースされた一方、MVSと同時開発していた家庭用ネオジオもリリースされることになった。

通称「Advanced Entertainment System」(略称:AES)で、これは後述のネオジオCDも同様である。

ただし、業務用が通称の「MVS」で呼ばれるのに対し、家庭用は「ネオジオ」と呼ばれることが多かったため、あまり浸透していない通称である。

発売当時、他の家庭用ゲーム機メーカーが「そこそこのハードウェアでそこそこの表現力」のマシンをリリースする中、「ゲームセンター向けハードウェアと同じ品質で、且つゲームセンターでヒットしていたゲームがほぼそのまま家庭で遊べる」という特徴により、特に金銭に糸目をつけない熱心なゲームファンに支持された。

しかし、その特徴のために、非常に高価だったため、「レンタルゲーム機」として当時急速に日本全国に普及していたレンタルビデオ店で貸し出す事業を行った。

このレンタル事業は後に一般販売と平行して行われるようになり、ネオジオCDが発売された1994年に終了した。

この事業で一定の成功を収め、更に消費者側から“購入できるネオジオを”との声もあった事から、家庭用ゲーム機販売事業へ参入、高級ゲーム機としての市場を開拓すべく1991年7月1日より一般販売が開始される。

当時の他機種のハード本体の価格は定価1万円前半〜2万円前半、ソフトが5千〜1万円程度だったのに対し、ネオジオは本体が58,000円、ロムカセットソフトも3万円以上した。

初期タイトルのロムカセットソフトの価格は、業務用ロムカセットソフトと同額だった。

これは、当時の他機種の価格をも考えた上で、ネオジオのゲームを1本買うだけで他機種の本体が2台買える計算である。

ソフトがこのような価格設定となった理由は、大容量のロムカセットを使用していた点と製造拠点の確保に由来する。

当時はアーケード基板と家庭用ゲーム機とはまだまだ性能差が大きく、移植されるのも当然ある程度の期間(半年から一年)を経た後にされるのが当たり前だった。

その時代に「アーケードと全く同じものが、アーケード稼動二ヵ月後に家庭で遊べる」という絶大なバリューを持ったネオジオの登場は、全国のゲームファンに衝撃を与えた。

なお、当初は「MVS用ソフトウェアにわずかな変更を施したものが家庭用」と思われていたものの、後述する「MVSコンバーター」や「ユニバースバイオス」の登場により、実際は業務用も家庭用カセット版も中身は全く一緒で、最初から家庭用のプログラムも組み込まれていることが明らかになっている。

家庭用か業務用かで起動するは、本体に内蔵されているバイオス次第であると推測される。

アーケードと同じものが家庭でも遊べることは、発売されるゲーム自体がヒットしていないと売りにはなりえないが、カプコンの『ストリートファイターII』のヒットを発端とした格闘ゲームブームに上手くはまり、格闘ものを中心にヒットしたことにより格闘ゲームファンからも支持を受けることとなる。

また、標準で同梱されるコントローラーが、据え置き型のジョイスティックだったことも、このゲーム機の性格を雄弁に物語っている。

今日では発売元だったSNKは既に倒産、事業や版権がSNKプレイモアに移行しているが、ゲームセンター用ハードウェア共々愛好する向きは絶えない。

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